想いを付けて保存

僕は、いつしかあの街に行けなくなった。

少し立ち寄るだけでも、きっと、涙があふれるとかじゃなくて、胸のあたりが痒くなって、どうしようもなくなってしまうから。

幸いなことに、そこに僕の過去はあるけれど、今はない。驚くほどに、すっきりとない。
だから、僕はそこから心はなれて、今を歩いていける。

それでも、あの街がなくなってしまっては困る。あまりに変わってしまっても、困る。
僕は想いを、置いてきただけなのだから。行き場を無くした想いが、僕の心で暴れないように。
それは想い出じゃあない。想いをそのまま貼り付けて、置いてきたんだ。

そうしていないと、今に戻って来られなかったから。