夜景は、遠くから観てこそ美しい。

長く、急な坂道を、自転車でのぼっていく。日課といえども、やはり大変だ。スーパーで買ったポカリと共に、もう秋だというのに汗をいっぱい滴らせている。
その坂は、いくらなんでも急すぎる。本気を出せば自転車から降りずにのぼれるのだが、明日に響くからおとなしく降りる。

今日はいつもと少し違う坂道をのぼっている。僕の家は、言わば山の反対側だから、右からだろうが左からだろうが、とにかく山を登れば着くのだ。
こっちの道には、頂上に公園めいたものがある。やっとの思いでそこまで着いて、下を見下ろす。今日は何故かここに来たかった。海まで見渡せるという、高くて、広い、でも全然名所じゃない展望台。

そこから見渡す街は、遠くて、綺麗だった。
都会の、真下にある夜景とは違って。

坂をのぼりきった達成感と、下界を見渡す優越感に浸りながら、僕は残りの家路を味わう。こういう不便な生活も悪くない、なんて思いながら。明日には、文句ばっかり言ってるんだろうけど。